再就職支援は、企業が経営上の都合で退職を余儀なくされた従業員に対し、新たな職場へのスムーズな移行を支援するためのサービスです。
希望退職や早期定年退職の募集条件には多くの場合、再就職支援が挙げられます。
ではこの再就職支援は必ず受けなければならないのでしょうか?
断った場合に何か不利益があったりするのか?
そう疑問を持つ人も多いでしょう。
この記事では、再就職支援とは何か、民間の就職支援サービスとの違い、再就職支援を受けるメリットとデメリットについて詳しく解説します。
再就職支援とは?
再就職支援の目的と意義
再就職支援の主な目的は、退職者が迅速かつ効果的に次のキャリアステップを踏み出せるようにすることです。
希望退職者にとって、次の職場へスムーズに移行するための支援は非常に重要です。
再就職支援は、退職者の不安を軽減し、心理的負担を和らげ、退職後の生活の安定をサポートします。
企業としても退職者が円満に職場を離れることは、企業イメージの向上にも寄与します。
再就職支援で受けれるサービス内容
再就職支援サービスでは、最初にキャリアカウンセリング行い、個々のキャリア志向や希望条件に応じた具体的な職業選択を進めることができます。
これまでの仕事や人生を振り返りながら「やりたいこと」「こだわりたい条件」などの強みや価値観を整理し、他企業への転職、独立起業、移住など、幅広いセカンドキャリアについて相談に乗ってくれます。
再就職支援サービスの支援内容(リクルート社の場合)
- 転職支援
- 独立・起業支援
- 田舎への移住など、スローライフの実現
- 地方創生、就農など
- 海外暮らし、ロングステイ
キャリア支援の他にも、ファイナンシャルプランニングや、会員制優待サービスなどもあります。
個人で申し込むことができないサービスなので、もし早期退職の際に再就職支援会社の紹介を受けたらとりあえず登録しておくことをオススメします。
主な再就職支援サービス
再就職支援サービスを提供する会社として、有名なものは下記5社になります。
- 株式会社リクルートキャリアコンサルティング
- マンパワーグループ株式会社
- パーソルキャリアコンサルティング株式会社
- 株式会社パソナ
- タリスマン株式会社
筆者の勤めていた会社では、リクルートキャリアコンサルティングと、地元の地銀の人材紹介部門が選べました。
ほとんどの人は知名度や充実したサービス内容があることからリクルートキャリアコンサルティングを選んでいました。
やはり大手サービスを選んだほうが安心感がありますよね。
民間の就職支援サービスとの違い
再就職支援と民間の就職支援サービスには、いくつかの違いがあります。
一般的な転職エージェントは、転職先の企業から入職者の年収の3分の1程度を目安に報酬をもらって運営されています。
一方、再就職支援サービスは、早期退職で送り出す側の企業からの委託金で運営されています。
大体1人当たり50~100万円の費用を送り出す側の企業が負担しています。
そのため、希望しない求人への応募を強く勧められたり、転職を急かされたりすることはありません。
また、転職エージェントではどうしても企業への転職・再就職が最終目標となってしまいます。
再就職支援サービスでは、フランチャイズ(FC)を含む起業・独立の支援、田舎で農業や林業に従事して地元を活性化したい、海外移住など、セカンドキャリアについて幅広く相談できます。
再就職支援を断っても良い?
断るメリット
再就職支援を受けることを断ることも、決して間違いではありません。
この選択にはいくつかのメリットが考えられます。
自由に転職活動ができる
会社の契約内容にもよりますが、再就職支援サービスの利用開始は希望退職の募集を締め切ってから、遅い場合だと退職してからの場合もあります。
早期定年退職で、退職後はのんびりする予定の人ならサービスの提供開始を待っていても良いですが、まだまだ働く場合はこの待ち時間はもったいないです。
40代以上のミドル層の転職にかかる期間は早い人で1ヵ月、一般的には半年程度です。
サービスの提供開始を待っていた場合、無職の期間が生じる可能性があります。
早期退職を決意した瞬間から転職活動をしていた人の場合、再就職支援サービス開始時には再就職先が決まっていることもあります。
そういった場合は、再就職支援を断っても何の問題もありません。
会社との縁を早々に断ち切れる
再就職支援サービスを受けると、再就職先が決まった後も一定期間フォローアップが行われます。
フォローアドバイザーが定期的に連絡を取り合うことで、退職者が新しい環境にうまく適応しているかを確認し、必要なサポートを提供し続けることができます。
このサービス開始~フォローアップまでの期間、「会社の出したお金の世話になるのが嫌だ」「退職後はすぐ会社と縁を切りたい」という人は結構います。
私もさっさと縁を切りたくて、再就職支援は断りました。
特に希望退職といいつつも、実質指名解雇された人は、会社に対して負の感情が大きいです。
早々に縁を切ったほうが精神的に安定するならば、再就職支援はお断りして自分で転職活動した方が良いです。
断った場合のデメリット
再就職支援を断ることには、留意すべきデメリットも存在します。
自発的な転職活動が必要になる
再就職支援を断った場合、次の就職先や起業については自分から積極的に情報収集して動いていく必要があります。
とはいっても自己都合退職の場合なら普通にみんながしていることなので、ちょっとネットで調べればいくらでも情報は出てきます。
履歴書の添削や面談指導が必要なら、転職エージェントに登録すれば対応してもらえます。
会員制サービスが利用できない
再就職支援サービスに登録した人が受けれるファイナンシャルプランニングや、会員制の優待サービスなどを利用することは出来なくなります。
もし再就職支援サービス開始前に転職先が見つかっている場合や、退職後働く気が無い場合でも、再就職支援サービスに登録をしてファイナンシャルプランニングや優待だけ受けて辞めることもできます。
筆者も「どうせ会社が金を払うんだから、登録してファイナンシャルプランニングとかだけ受けてもいいよ」といわれました。
面倒くさかったんで断りましたけど。
会社が支払うお金が減ってしまう!
再就職支援サービスを受ける場合、企業は1人当たり50~100万円の費用を負担します。
再就職支援を断った場合、会社は本来払うつもりだった費用50~100万円が浮くことになります。
なんか悔しい!どうせなら少しでも会社の負担を多くしてやりたい!という場合は、とりあえずキャリアカウンセリングとかファイナンシャルプランニングだけでも受けてみましょう。
再就職支援を受けるかどうかの判断
再就職支援を受ける際の心構え
希望退職を選択した背景にはさまざまな理由があるかもしれませんが、新たなキャリアのスタートとして前向きに捉えることが大切です。
再就職支援は、退職後の新たなキャリアのサポートを受けるための有用な資源です。
このサービスを最大限に活用するためには、まずは自分のスキルや経験、興味を整理し、明確なキャリアビジョンを持つことが重要です。
再就職支援を利用することで、自己分析の補助や求人情報の提供、面接対策などが受けられますが、最終的なキャリア設計は自分自身の手で行う必要があります。
再就職支援を効果的に活用するならば、事前にどのようなサポートが必要かを把握し、その期待を会社の提供する再就職支援サービスとマッチングさせることが鍵となります。
再就職支援が必要かどうかの判断材料
再就職支援を利用するべきか否かを判断する際には、現在の就職市場の動向や個々のスキルセットを正確に把握することが重要です。
求人が少ない業種への再就職を希望する場合や、キャリアチェンジを検討している場合は再就職支援の活用が有効な手段となるでしょう。
経験が乏しかったり、自力での求職活動や起業に不安を抱えているならば、支援を受けて専門的なサポートを受けた方が良いです。
また、再就職支援だけでは不安、早めに転職活動を開始したい場合ももちろんあるでしょう。
そういう場合は、他の転職サイトや転職エージェントに登録しても大丈夫です。
再就職支援開始時に「他の転職エージェントを利用している」ことを伝えれば何の問題もありません。
もし転職エージェントに登録する場合は、再就職支援サービスの提供会社とは別の運営会社のサービスに登録すると、求人の幅を広げることができます。
例:再就職支援サービス(リクルート社)× 転職エージェント doda(パソナ社)など
希望退職を決断する前に知っておくべきこと
希望退職や退職勧奨に応じる際には、まず自分の経済状況や将来のキャリアについて深く考えることが重要です。
希望退職や退職勧奨は、通常の退職よりも失業給付金や退職金の優遇措置を受けられるメリットがありますが、早期に職を離れることによって将来の年金額や収入が減少するリスクも考慮しなければなりません。
退職後の生活が安定するように、資産の見直しや再雇用の計画を立てることが必要です。
また、希望退職や退職勧奨を受け入れるかどうか判断する前に、現在の就業状況と次に目指すキャリアの方向が一致しているかもよく確認する必要があります。
再就職支援をどの程度利用するのか、または独自の方法での転職を目指すのか。
労働市場の動向や求人の多さによっても、退職の意思決定が左右される可能性があるため、業界の動向もチェックしておきましょう。
最後に、自身のライフスタイルや収支に応じた現実的なプランを立て、家族との充分な話し合いのもと、覚悟を持って決断を下すことが望ましいです。
同業他社の求人情報もチェックしてみよう
希望退職などの人員削減が行われると、本当は辞めたくないのに退職を迫られることもあります。
希望退職や早期退職を持ちかけられるのは大抵40代や50代、一番お金が必要な世代です。
割増退職金で多くのお金をもらえるとしても、できれば次の会社でも現職と同等か多い給料が欲しいものですよね。
希望退職が実施されたら、まずは同業他社の求人情報をチェックしてみましょう。
意外と同じような業務内容で年収アップしそうな求人が出てきますよ。
今時の転職活動は、転職サイトや転職エージェントの活用が必須です。
転職サイト・転職エージェントは登録無料です。
まずは、気軽に情報収集から始めてみましょう。