希望退職後に再就職を目指す場合、気になるのは「年収をどの程度維持できるか?」ですよね。
ネットで情報を調べてみると、「希望退職者の約8割が再就職後に年収が下がり、特に管理職の場合はそのダウン幅が4割から6割に達する」という意見もあり、不安を感じやすいと思います。
でもこの数字ってどこから来た数字なのでしょう?
転職サイトとかが不安を煽るために適当に出した数字じゃない?
というわけで、この記事では厚生労働省の統計を基に、転職後の賃金変動がどれだけあるかを解説し、さらに年収が下がった場合の家計防衛術についてもまとめています。
希望退職後のキャリア選択肢
データで見る転職後の賃金変動
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」を見てみましょう。
この調査によると、全世代の平均で見ると前職の賃金に比べて転職後の賃金が「増加」した割合は 37.2%、「減少」した割合は 32.4%、「変わらない」の割合は 28.8%となっています。
希望退職のメインターゲットとなる50代後半以降は賃金が増えた割合は徐々に減っていきますが、「8割の人が年収ダウン」というほど悲惨な状況にはデータ上は見えません。
60歳までで見てみると、思ったよりも「賃金が減った」割合は世代間で変わりない結果に。
8割の人が年収ダウンとは一体なんだったのか?
大手企業から転職する場合は年収ダウンの可能性が高い
希望退職という制度は、ある程度大きな企業が実施する場合が多いです。
大幅な年収ダウンを警戒しなければいけないのは、大手企業に勤めていた人でしょう。
大手企業で50代ともなれば、年功序列や役職などもあって年収1,000万円を超える人も少なくありません。
大手企業で年収1,000万円を超えていた人が、転職市場でそのまま1,000万円の価値ある人材と評価してもらえることは残念ながらほぼありません。
大手企業に勤めている場合、そもそも賃金体系が高いこと、年功的な賃金制度を運用していることから、市場での価値よりも高い年収をもらっている場合が多いです。
運良く大手企業 → 大手企業に転職できればいいですが、企業規模の小さい会社に転職した場合は、年収ダウンすることは覚悟しておきましょう。
専門性が高い職種、例えばエンジニアやテクニカル職であれば、年収ダウン幅が比較的小さい傾向があります。
それでも市場価値をしっかり把握し、自分のスキルを的確にアピールすることが重要です。
「マネジメント能力があります」と述べるだけでは希少価値を示せません。
明確な業績や実績を基に転職活動を行うようにしましょう。
転職先の給与条件にこだわりすぎない
現在の年収を基準に考えてしまうと、求人が絞り込まれてしまいがちです。
転職活動においては、単に給与だけでなく、福利厚生や企業文化、労働環境といった働きやすさの要素も重視すべきです。
年収減少が避けられない場合は、職場でのやりがいやライフスタイルのバランスを考慮することで、長期的に満足感を得られる転職につながります。
どうしても年収を維持したい場合には、休日に副業をしたり、希望退職でもらった退職金を元手に資産運用をすることも検討しましょう。
退職後の経済的不安を乗り越える方法
退職金をいかに活用するか
希望退職後の経済状況を安定させるためには、退職金の有効活用が重要です。
退職金は特に大型の資金であるため、無計画に使用してしまうと後悔につながる可能性があります。
まずは、家計の支出を見直し、固定費や生活費のバランスを把握しましょう。
その上で、退職金を住宅ローンの繰り上げ返済や老後資金に配分するなど、長期的な視点での計画を立てることが重要です。
金融知識を取り入れ、慎重な運用をすれば、不安を和らげることができます。
失業保険の利用と活用法
希望退職者は「会社都合退職」として失業保険を受け取ることが可能であり、失業期間中の生活費を支える大きな助けとなります。
失業保険の基本手当は、過去の給与水準と離職時の年齢を基準に計算され、条件を満たせば最長で330日間受給できます。
申請はハローワークで行います。
会社都合退職の場合は、離職票が届いて、ハローワークで求職の申し込みを行ったあと、7日間の待期期間満了後から給付が始まります。
最近、SNSなどで「退職給付で最大200万受け取りサポート」などの謳い文句で、グレーな方法で失業保険の受取をサポートする会社が出てきています。
高額な料金を払わなくても、会社都合退職ならハローワーク窓口で申請すれば問題なく失業保険を受け取れます。
騙されないように注意してください。
生活費削減のための工夫
希望退職後の経済的不安を軽減するためには、生活費を削減する工夫も大切です。
まず、家計簿をつけて支出の内訳を把握し、削減可能な項目を見つけましょう。
最初から完璧を目指すと挫折しやすいので、家計簿をつけるのは1~2ヶ月分で大丈夫です。
2ヶ月分もあれば、お金を使っている項目はなんとなく分かります。
よく言われることですが、通信費や保険料などの固定費は削減できると効果が大きいです。
また、趣味や娯楽にかかる費用も一時的に減らすことで、より経済的に安定した生活を送ることが可能です。
副業の可能性を探る
近年、副業を始めることで退職後の収入を補う人が増えています。
特に副業は、スキルを活かせる仕事や趣味を収益化できる自由度があり、経済面だけでなく精神的な充実感も得られる可能性があります。
ブログ運営やオンライン講師などのインターネットを活用した副業だけでなく、自分の得意分野に基づいたサービス提供も選択肢の一つです。
希望退職で一時的に年収が下がるとしても、副業で不足分を補填できるようになることで、転職後の年収を維持できる可能性も期待できるでしょう。
まとめ
希望退職後の不安は誰もが抱えるものですが、それを乗り越えるためには適切なマインドセットが必要です。
一つの企業での退職を「終わり」と捉えるのではなく、「新たな出発」として捉える思考法は未来への希望を抱く原動力になります。
また、転職後に年収が下がる可能性がある場合でも、別の形で価値を見つける姿勢が重要です。
現在の年収が1,000万円であれば、同じ待遇での転職は難しい可能性が高いことを認識し、その差額を補う方法や妥協できるポイントを考えるべきです。
転職以外にも起業やスキルアップといった選択肢を視野に入れることで、新たな道が開ける可能性があります。
最後に、退職金や失業保険などの経済的支援を計算に入れながら、生活設計を再構築することが後悔のない決断につながります。
同業他社の求人情報もチェックしてみよう
希望退職などの人員削減が行われると、本当は辞めたくないのに退職を迫られることもあります。
希望退職や早期退職を持ちかけられるのは大抵40代や50代、一番お金が必要な世代です。
割増退職金で多くのお金をもらえるとしても、できれば次の会社でも現職と同等か多い給料が欲しいものですよね。
希望退職が実施されたら、まずは同業他社の求人情報をチェックしてみましょう。
意外と同じような業務内容で年収アップしそうな求人が出てきますよ。
今時の転職活動は、転職サイトや転職エージェントの活用が必須です。
転職サイト・転職エージェントは登録無料です。
まずは、気軽に情報収集から始めてみましょう。