早期退職・希望退職の対象となる40代、50代というのは子供の教育費や親の介護についても考える必要があるため、退職割増金などの優遇条件の内容が良くても、その後の生活のことを考えるとなかなか一歩を踏み出すことができません。
年齢が上がるほど再就職が難しいのはもちろんあります。
そもそも会社で希望退職の募集があったとして、募集期間が短く、十分に考える時間や転職活動をする時間はありません。
この記事では、早期退職を検討している方々に向けて、早期退職者のその後の再就職が厳しいと言われる理由と、その決断に伴う注意点や再就職活動の実態、そして成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
希望退職は募集期間が短い
希望退職の募集期間は1ヶ月以内が最多
希望退職は、経営方針の見直しを目的に実施される期間限定の退職制度です。
希望退職のメリットは退職金の上乗せがあること、会社都合退職として失業保険の給付額や期間が優遇されることなどです。
では実際に希望退職に応募しようと思っても、いつ募集があるのかは経営陣以外は誰にもわかりません。
そして希望退職の募集があったから応募しようと思っても、募集期間が短く、なかなか決断できない場合が多いです。
希望退職の場合、募集期間は約1か月以内とする企業が7割、最長でも3ヶ月となっています。
1ヶ月以内、下手すると2週間などもっと短い期間で退職を決意して、転職活動をして、再就職先を見つけることができると思いますか?
普通は思いませんよね。無理です。
ということはどうなるかというと、
- もとから辞める気で転職活動していた人
- 実家に帰って家業を継ぐなど、アテがある人
- 資産が潤沢にあり、辞めても問題ない人
- 仕事と家事(育児 / 介護)の両立に疲れた人
という人から手を挙げて辞めていきます。
上記のような人の場合、退職後の生活がある程度見えていますし、特に新たな準備を必要とせずに辞めていくことができます。
こうした人たちだけで募集人数がほとんど埋まってくれれば、残りの社員はあまり気をもむことなく会社に残ることができます。
希望退職の募集締め切りから退職日までは1~3か月の猶予がある
希望退職の募集期間は1か月以内が多いですが、大抵の場合は募集を締め切った後から退職日までは1か月~3か月の間が空きます。
この間に再就職のための特別休暇を支給された場合は特別休暇を、ない場合は残っている有給休暇などを使って転職活動を行います。
自分の希望や優先順位を明確にし、妥協できる条件・できない条件について考えておきましょう。
100%希望通りの転職先を見つけることは若者でも難しいです。
特に退職日までに転職先を決めておきたいならば、少しでも良いなと思える企業があればそこに決める勇気も必要となります。
少し前のデータにはなりますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構が2016年発表した中高年齢者の転職・再就職調査のデータを見てみましょう。
45~74歳の中高年齢者で転職経験がある人に転職にかかった期間を聞いたところ、0ヶ月以内が 19.8%、2ヶ月以内が 23.7%、5ヶ月以内が 13.8%、合計で約 6 割が半年未満で転職できています。
2016年よりは確実に売り手市場となっている現在ならば、もう少し短い期間での転職や希望条件に合った企業に転職できる可能性があります。
福利厚生としての早期退職は期間制限なし
一方、早期退職優遇制度の場合は福利厚生の一環として恒常的に運用されているため、募集期間というものはありません。
希望退職と違って自己都合退職扱いとなるため、失業保険の給付額は少なくなりますが、退職金の上乗せ支給や再就職支援などの特典があります。
今の会社に見切りをつけて次の会社に転職、または起業、楽隠居生活をしたい人にとってはおススメの制度です。
この福利厚生としての早期退職の場合は、再就職先が見つかってから応募することができるので、ある程度希望に合う会社が見つかるまで転職活動をすることができます。
ミドル世代の転職は厳しい
転職活動が初めてという人が多い
早期退職や希望退職の対象となる40代以上の人は就職氷河期でツラい想いをした方が多いです。
必然、「リストラ対象にならないよう」「また就職活動をしなくて良いよう」にとにかく残業して休みも取らずに働いてきた人ばかりです。
そういった人が早期退職をして会社を辞めて転職する場合、転職活動自体がそもそも初めて、または何十年ぶりということになります。
ここ数年で、履歴書や職務経歴書はweb上で簡単に作成・提出できるようになりましたし、面談もオンライン面談が増えてきています。
パソコン作業に慣れている人にとっては、履歴書を一度作れば複数の企業に簡単にエントリーできるので、楽になったといえます。
しかし、パソコン作業が苦手な人にとってはやり方を調べたり練習したりで、最初の間はかえって手間が増えてしまい、モチベーションが低下しやすいです。
50代で早期退職した場合の就職市場の実態
氷河期自体と違って今は売り手市場です。
それでも40代以上、特に50代以上では希望する条件を満たす転職先を見つけるのは本当に大変です。
多くの企業は新卒や若手の採用を重視し、高齢者の再就職には慎重な姿勢を持っています。
また、企業は50代の再就職者が持つスキルや経験を必ずしも評価するわけではありません。
その結果、同じ労働市場で若手と競争する場面が増え、ポジションを得るまでの道のりが困難になるのです。
特に注意が必要なのが、これまで大企業でしか働いたことがない人です。
大企業の場合、社内システムも提出書類の形式もある程度規格化されていて、誰でも同じようなレベルの業務ができるようにシステム化されています。
出来上がった土壌の中で「仕事ができる」と思っていた人が、中小企業に移った途端に評価されなくなるのは残念ながらよくある話です。
中小企業では、同じような業務内容でも、その業務に付随するシステムや法令などへの理解や応用など、幅広い知識が求められます。
大企業にいたときと同じような仕事の仕方をしていては、戦力外とみなされることもあり得ます。
早期退職後に利用できる転職チャネルの限界
早期退職後に利用できる転職チャネルには限界があります。
多くの再就職支援サービスやエージェントは、若年層向けの求人や新卒採用市場に強みを持っており、中高年層を専門にするサービスは限られています。
また、インターネット上の求人サイトや転職フェアでも同様に、50歳以上の求人案件が少ないことが一般的です。
さらに、企業側の好みの変化や市場のニーズに合わせた求人が出ない場合もあります。
結局どんな転職サイトが良いの?といわれると、やはり大手の転職エージェントに登録するのが無難です。
迷ったらとりあえずリクルートエージェントやdodaとハローワークの求人情報を覗いてみましょう。
早期退職後に再就職を成功させるためのポイント
再就職支援の活用法
再就職支援の実態は多岐にわたりますが、その活用法についてはしっかりと理解しておくことが重要です。
再就職支援サービスでは、キャリアカウンセリングや職業訓練プログラム、履歴書や職務経歴書の書き方支援などを提供しています。
オンラインでの履歴書作成や、オンライン面談のやり方に不安がある場合は転職エージェントに相談すれば助けてくれます。
再就職支援サービスを最大限に活用するためには、自分のキャリアの中で何が重要であるかを明確にし、具体的な目標を持つことが求められます。
また、再就職支援の専任アドバイザーと定期的に相談し、自分のスキルや経験をどのように市場にアピールするかを考えることも大変重要です。
50代で早期退職した際の再就職支援の選び方
50代で早期退職を選んだ場合、再就職支援の選び方は非常に重要です。
再就職支援サービスを選ぶ際には、まず自分のキャリアや経験に対する理解が深いアドバイザーやカウンセラーがいるかどうかを確認します。
また、提供している職業訓練プログラムや求人情報の質も重要なポイントです。
50代向けの求人が多いサービスや、キャリアカウンセリングに力を入れているサービスを選ぶことで、再就職の成功率を高めることができます。
さらに、利用者の口コミや評判も参考にすることで、信頼できるサービスを選ぶことができます。
早期離職の経験をプラスに転換する方法
早期離職の経験をプラスに転換するためには、その理由をポジティブに説明することが必要です。
例えば、新しいチャレンジのために早期退職を決意した場合、その行動力や決断力を強調することができます。
また、短期間で新しいスキルや知識を習得したことを具体的に説明することで、今後のキャリアにどのように活かせるかを伝えることも重要です。
面接官に対して、自分の経験が次の仕事でどのように役立つかを明確に伝え、前向きな姿勢を示すことが再就職にとって有利になるでしょう。
まとめ
早期退職や希望退職の対象となるのは主に40代・50代のミドル世代です。
この年代で初めて転職活動を経験する、または久しぶりに転職活動をするのは大変です。
新卒時代と違って、履歴書や職務経歴書、面談など多くの場面がデジタル化しているため、まずはシステムに慣れることから転職活動が始まります。
このシステムへの不慣れさは、転職エージェントに相談すれば助けてくれるので、あまり深く気にする必要はありません。
早期退職(特に希望退職)の募集公示から終了までの期限は短く、募集期間内に何もかも決めなくてはと焦ることもあるでしょう。
しかし、募集期間内に退職の意思決定をして再就職先を見つけるのはほぼ無理です。
大抵の場合、家族と退職するべきか相談したり、早期退職したらどうするべきかの情報探し、資産状況の整理などで時間が過ぎます。
転職活動の勝負の時は募集期間終了後から退職日までの期間です。
自分の希望や優先順位を明確にし、妥協できる条件・できない条件について考えておきましょう。
出来れば早期退職が募集される前から、定期的に転職サイトを覗いて自分の希望条件にあった募集があるか、自分のスキルや価値はどれくらいあるかを理解しておくようにした方が良いです。
同業他社の求人情報もチェックしてみよう
希望退職などの人員削減が行われると、本当は辞めたくないのに退職を迫られることもあります。
希望退職や早期退職を持ちかけられるのは大抵40代や50代、一番お金が必要な世代です。
割増退職金で多くのお金をもらえるとしても、できれば次の会社でも現職と同等か多い給料が欲しいものですよね。
希望退職が実施されたら、まずは同業他社の求人情報をチェックしてみましょう。
意外と同じような業務内容で年収アップしそうな求人が出てきますよ。
今時の転職活動は、転職サイトや転職エージェントの活用が必須です。
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まずは、気軽に情報収集から始めてみましょう。