早期退職関連

希望退職の募集時期はいつが多い?過去3年の募集データから見るタイミングと傾向

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筆者が希望退職に見せかけた退職勧奨をされたとき、「希望退職が募集される時期は連休前が多い」という記事を読みました。
確かに筆者も面談があったのは12月中旬で、「年末に暗い気分にさせないで…」となりました。
でも実際にデータを出している記事を見たことがなく、もやもやした記憶があります。

本記事では、2022年からの3年間の希望退職募集内容を基に、希望退職の募集時期や募集期間、退職までの日数をまとめてグラフ化し、解説していきます。

希望退職募集の公示時期

過去3年の公示時期データ

過去3年間で実施された希望退職の公示時期 n=68


2021年10月~2024年9月までの3年間で実施された希望退職の公示時期を見てみると、年末~年度末にかけてと5月に公示される場合が多い結果となりました。

思っていたよりもバラけている印象です。

「連休前に実施される傾向がある」という説は一体何だったのか?
それともここ数年で傾向が変わってきているのでしょうか?
謎が多いですね。


下半期にかけての公示が多くなる原因としては、年末や年度末などの区切りが良いところで退職日を設定している場合が多いからです。
特に11月と12月の発表が多いのは、年末年始の休暇を利用して転職情報を調べたり、家族と相談する時間をとったりと、社員が慎重に判断できる環境を提供するためでしょう。
5月の公示に関しては、決算発表と一緒に経営改善案として発表される場合が多いです。

過去3年の退職時期データ

過去3年間で実施された希望退職の退職時期 n=86


次に2021年10月~2024年9月までの3年間で実施された希望退職の退職時期を見てみると、年度末である3月退社が最多で22件(25.6%)、年末である12月退社14件(16.3%)です。

他に第一四半期の終わりである6月、第二四半期の終わりである9月も件数が多く、四半期末の退社を合わせると約64%となります。
希望退職の募集公示時期は「下半期にかけて多くなる傾向がある」程度でしたが、退職時期に関しては明らかに期末を意識した設定となっています。
特に一年や年度の区切りとなりやすい12月と3月に集中しています。
年末から年度末にかけては、次年度に向けた人員配置の見直しや会計処理、予算計画などが行われる時期です。
希望退職で人員が減ることを考慮した計画を立てることができるのは企業にとってもメリットでしょう。

また一般的にみても12月と3月というのは退職・転職が多い時期です。
新年・新年度から新しい職場でスタートしたいという思いや、学校など家族のライフスタイルに合わせた転職や引っ越しがしやすい時期だからです。
求人も下半期から増えていく傾向にあるので、上半期に比べると比較的職を探しやすいメリットがあります。

募集スケジュールと期間

過去3年間の希望退職の募集開始~締め切りまでの期間
募集期間募集開始~退職日
平均値27.985.9
中央値2580
最長150273
最短230
過去3年間の希望退職の募集スケジュール


希望退職募集期間は企業によって異なるものの、一般的には数週間から数ヶ月にわたることが多いです。
2022年~2024年の希望退職の募集データを見てみると、募集期間は1か月以内が約73.7%です。
最短は2023年のタカキューで、募集期間2日で100人の募集に対して97人が応募しています。
逆に最長なのは2024年のリコーで、募集期間150日で1000人を募集しています。

募集開始から終了までの期間、従業員は十分に情報を収集し、家族や友人と相談した上で希望退職に応じるか否か決断する必要があります。
退職希望者にとって重要な期間であり、この期間中に企業は詳細な説明会や個別相談の機会を設けることが一般的です。

公示から退職までのスケジュール

あまり募集開始から退職までが長くなると、退職希望者は現職に対するモチベーションも下がってしまい、社内の雰囲気が悪くなる可能性があります。
逆に短すぎると、業務の引継ぎがうまくいかない可能性が出てきます。
そこらへんのバランスを考えて、年度末に退社日を設定した企業は、年末に希望退職の公示 → 年明けから募集開始 → 面談 → 3月末に退職というスケジュールを取る場合が多いようです。

業種や企業規模による傾向

大手企業の状況

大手企業においては、希望退職者募集が近年増加しています。
東京商工リサーチの調査によると2024年上半期に早期・希望退職募集をした企業数は41社で、対象人員は7,104人と前年同期比3.5倍となっています。
オムロンや資生堂、リコーなどの有名企業が1,000人を超える退職希望者を募集したのは記憶に新しいです。
さらに東芝や住友化学、コニカミノルタも2024年度中にそれぞれ4,000人、4000人、2,400人規模の大規模人員削減を実施予定です。
このような大手企業は、リストラに伴うコスト削減や経営資源の最適化を目的として、希望退職者募集を実施します。

中小企業の状況

一方で、中小企業における希望退職者募集の状況は大手企業とは異なります。
中小企業ではリソースが限られているため、早期退職や希望退職を募集する際の財務的負担が大きくなることがあります。
そのため、募集を実施する際には慎重な計画が求められます。
しかしながら、近年の経済低迷や市場環境の変化に伴い、中小企業でも希望退職者募集を行うケースが増えています。
これは、企業が生き残りを図るために必要な手段の一つとして取り入れているためです。
特にコロナ禍以降、多くの中小企業が経済的理由から早期退職や希望退職を募る状況に追い込まれています。

応募する際の注意点

経済的なメリットとデメリット

希望退職に応募する際には、経済的なメリットとデメリットを慎重に評価することが重要です。
メリットとしては、退職金の増額や特別な退職金の支給があります
短期間でまとまった資金を手に入れる機会となり、新しい生活のスタートやビジネスの開始に役立つことがあります。

一方、デメリットも無視できません。
特に、次の就職先がしっかりと決まっていない場合、不安定な収入状況に見舞われる恐れがあります。
また、年金や保険の支払いを自分で負担しなければならない場合もあるため、長期的な経済計画を立てることが求められます

心理的な影響と対策

希望退職は心理的な影響を与える場合があります。
特に、長期間一つの企業で働いてきた人にとって、急に環境が変わることはストレスとなることが多いです。
このため、希望退職を考える際には、心理的な面も計画に含めなければなりません。
必ず家族や友人に相談するようにしましょう。
大切な人々とのコミュニケーションを通じて、心理的な不安やストレスを軽減することができます。

また、退職後の生活やキャリアプランを具体的に考えることも対策の一つです。
新しいスキルを身につけるための学習プランや、興味のある分野での活動計画を立てることで、ポジティブな意欲を高めることができます。
そして、日々の生活リズムを維持し、健康管理にも注意を払うことで、心理的な安定を保つことも大切です。

  

まとめ

希望退職募集は、特に年末や長期休暇前に実施される傾向があります。
これは社員が家族と相談しやすいタイミングで、慎重に判断できる時期を提供するためです。

希望退職の背景には、人員削減やコスト削減などの理由が挙げられます。
近年、終身雇用制度の衰退や高齢者雇用安定法の改正により、希望退職制度がますます一般的となっています。
希望退職に応募する際の注意点としては、経済的メリットとデメリットのバランスをよく考えること、そして心理的な影響に備えることが重要です。
退職後の生活設計や再就職活動の計画をしっかり立てることで、不安を軽減することができます。

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