早期退職や希望退職の募集条件には「再就職支援」という文言が大体入っています。
再就職支援サービスは送り出す側の企業から利用料を受け取るため、かなり親身になって相談に乗ってくれます。
しかし、再就職支援サービスが始まるまで転職活動をストップしてしまうのは、絶対に避けるべきです。
早期退職や希望退職の対象となるミドル世代は、若手に比べると求人が少なく、転職に時間がかかる可能性が高いです。
この記事では、再就職支援サービスと一般の転職サイトや転職エージェントとの併用について、メリットとデメリット、オススメの組み合わせについて詳しく解説していきます。
再就職支援サービスとは?
再就職支援サービスの概要
再就職支援サービスとは、企業の早期退職・希望退職に応じた人が、スムーズに次のステップへ進めるようサポートするサービスです。
具体的には、キャリアカウンセリング、求人情報の提供とマッチング、面接対策や履歴書添削といった支援が含まれます。
これだけをみると「転職エージェントと何が違うの?」と思うことでしょう。
転職エージェントとの違いを一覧にしてみました。
再就職支援 | 転職エージェント | |
---|---|---|
運営費用 | 企業が負担(送り出す側) | 採用企業が負担(年収の約1/3) |
サービスの目的 | 退職者の再スタート支援 | 転職者を企業に紹介して報酬を得る |
ゴール | 転職・起業・移住など自由 | 基本は企業への転職 |
求人紹介の圧 | やや控えめ | 求人応募を促されやすい |
再就職支援サービスは、早期退職で送り出す側の企業からの委託金で運営されています。
大体1人当たり50~100万円の費用を送り出す側の企業が負担しています。
そのため、希望しない求人への応募を強く勧められたり、転職を急かされたりすることは少ないです。
最初にこれまでの仕事や人生を振り返りながら「やりたいこと」「こだわりたい条件」などの強みや価値観を整理し、他企業への転職、独立起業、移住など、幅広いセカンドキャリアについて相談に乗ってくれます。
再就職支援サービスの支援内容
転職エージェントではどうしても企業への転職・再就職が最終目標となってしまいます。
一方で、再就職支援サービスでは、これまでの仕事や人生を振り返りながら「やりたいこと」「こだわりたい条件」などの強みや価値観を整理し、他企業への転職、独立起業、移住など、幅広いセカンドキャリアについて相談に乗ってくれます。
再就職支援サービスの支援内容(リクルート社の場合)
- 転職支援
- 独立・起業支援
- 田舎への移住など、スローライフの実現
- 地方創生、就農など
- 海外暮らし、ロングステイ
一般の転職サイト・エージェントとの併用が必要な理由
「再就職支援サービスがあるから、転職エージェントは要らない」
「再就職支援サービスが始まるまで、転職活動はしない」という考えはNGです。
再就職支援サービスは、一般の転職サイト・エージェントとの併用がオススメです。
というのは、希望退職の場合は退職日はあっという間にやってくるからです。

募集期間 | 募集開始~退職日 までの期間 | |
---|---|---|
平均値 | 33.0 | 98.2 |
標準偏差 | 29.2 | 37.2 |
最長 | 150 | 181 |
最短 | 10 | 44 |
2024年に希望退職を募集した企業の募集内容を見てみると、募集開始日~退職日までの期間が4か月以内という企業が約80%です。
さらに、以下のような事情で「実際に転職活動を始められる時期」がどんどん後ろ倒しになりがちです。
- 家族と相談してから決断
- 社内の様子をうかがってから応募
- 書類手続き
- 再就職支援の初回面談
結果、再就職支援サービスを受けられるようになるころには、募集開始から1~2か月経過することなんてザラです。
中には「支援サービスは退職後からスタート」という企業もあります。
ミドル世代の転職は平均6ヶ月以上
40代以上の転職は平均6ヶ月かかると言われています。
自己都合退職ならば、転職先が決まってから退職願いを出して辞めることができます。
しかし、希望退職の場合は会社が設定している退職日になったら、転職先が決まっていなくても辞めなくてはいけません。
いくら失業保険がもらえるとはいえ、退職後に無職でいる不安は大きなストレスになります。
そのためには再就職支援サービスの開始を待たず、希望退職の募集が公示されてすぐ、または希望退職への応募を決めてすぐに転職活動を開始する必要があります。
複数登録のメリット・デメリット
複数登録のメリット・デメリット
転職エージェントは求人紹介だけでなく、書類添削や面接対策、給与交渉、アフターケアなどの転職支援を無料で提供してくれます。
これらのサポートを最大限に活用するためには、複数のエージェントに登録することが有効です。
複数登録のメリット
- 非公開求人など、求人情報の幅が広がる
- アドバイスが多く貰える
- 求人情報を多角的な視野から比較検討できる
- 自分に合ったキャリアアドバイザーに会える可能性
複数登録のデメリット
- 時間と手間がかかる
- スケジュール調整が煩雑になる
- アドバイスが矛盾したり、情報が錯綜しやすい
- 同一求人に応募してしまうリスクがある
複数登録していることは担当者に伝える
転職サイトであるリクナビNEXTの調査によると、求職者1人が利用する転職エージェントは平均4.2社です。
ただ実際には登録だけして、あまり利用せずに転職活動が終わるパターンも多く、メインで利用するエージェントは2~3社というのが一般的です。
エージェントやキャリアアドバイザーも、複数利用する人が多いことは分かっているため、他の転職サービスを使用していることは伝えておきましょう。
オススメの組み合わせ
再就職支援会社と系列の違うエージェントを組み合わせる
再就職支援サービスの運営会社(インディードリクルートパートナーズ社、パソナ社など)が分かっているのならば、その運営会社とは別の転職エージェントに登録すると、求人情報の幅が広がるのでおススメです。
例:再就職支援サービス(インディードリクルートパートナーズ社)× 転職エージェント doda(パソナ社)など
リクルートエージェント
公開求人数:400,000件以上
非公開求人数:210,000件以上
特徴
・非公開求人が多い
・キャリアアドバイザーが履歴書作成から面接準備までサポート
・職務経歴書エディターなどの無料ツールが豊富
doda
公開求人数254,000件以上
50代 × 正社員の求人数 = 20,000件以上!
40代×正社員の求人数 = 25,000件以上!
特徴:
・企業からオファーを受け取れる
・職種・業種・ステージ別133種類の職務経歴書テンプレートあり
・転職タイプ診断などの転職支援ツールが多い
総合型と特化型を組み合わせる
転職エージェントは大きく分けて総合型と特化型に分類されます。
総合型エージェントは多種多様な求人情報を扱い、求職者の年齢制限もありません。
有名なものでは、リクルートエージェントやdodaなどがあります。
一方で、特化型エージェントは特定の業界や職種に特化しており、より専門的なサポートを提供しています。
ここでは、早期退職や希望退職の対象となりすい「40代以上、事務系」向けの特化型エージェントを紹介します。
MS-Japan
公開求人:10,500件以上+非公開求人
特徴
・50歳以上のミドル・シニア層も対象
こんな人にオススメ!
・経理・財務/人事総務/法務/経営など、管理部門経験者
・弁護士、公認会計士、税理士、弁理士など士業の人
・会計事務所・監査法人・税理士法人での業務経験のある人
SAMURAI JOB
求人数 20,000件以上(独占求人あり)
特徴
・30代、40代をメインとした、ハイクラス転職エージェント
・年収700万円~2,000万円のハイクラスに特化した求人
こんな人にオススメ!
・ハイクラス転職に興味がある
・外資系企業やグローバル企業に転職希望
・英語など、外国語が得意・苦手意識がない
急いでいない場合はスカウトサービスを利用する
「早期退職後はのんびりしたい」「良い求人があったら応募したい」という場合は、転職エージェントには登録せず、再就職支援サービス会社との面談まで待っても大丈夫です。
「一応求人情報も見たい」という場合は、リクナビNEXTやビズリーチなどの求人検索とスカウトサービスが利用できる転職サイトに登録すると良いでしょう。
リクナビNEXT
公開求人数149,000件以上
50代 × 正社員の求人数 = 22,000件以上!
40代×正社員の求人数 = 30,000件以上!
特徴
・企業からオファーを受け取れる
・履歴書と職務経歴書の無料作成ツールあり
こんな人にオススメ!
・自分のペースで転職活動をしたい
・まだ転職する気はないが、診断には興味がある
・いろいろな仕事を知って視野を広げたい
ビズリーチ

まとめ|再就職支援サービスを「待たずに動く」ことが成功への第一歩
早期退職・希望退職に応募したら、再就職支援の開始を待たずに、転職活動を始めるべきです。
- 募集〜退職までの期間が短い
- ミドル世代の転職には時間がかかる
- 希望退職は退職日が決まっている
この3点を理解しておくことが、後悔しないキャリア選択につながります。
そして、転職サイトや転職エージェントを併用すれば、自分に合った仕事やアドバイザーに出会えるチャンスも広がります。
時間に追われる転職活動を回避するためにも、応募を決めた瞬間から動き出すことを強くオススメします。