再就職手当はまとまったお金をもらうことができるので、開業するならばぜひ欲しいものですよね。
とはいえ、フリーランスやブロガーとして開業届を出して、再就職手当をもらったという事例はネットを検索してもなかなかありません。
ネットで検索すると「個人事業主はもらえない」「従業員がいないともらえない」など、昔の支給条件を基にした?ウソの意見も多くあります。
この記事では、退職後にフリーランスとして開業届を提出した筆者が、約半年という時間はかかったものの再就職手当を受給できたまでの経緯を紹介しています。
また、これからフリーランスとして再就職手当を申請したい人に向けて、必要となる書類やアドバイスなどもまとめています。
再就職手当を受け取るまでにかかる期間や、必要となる書類を体験談ベースで知りたい人向けです。
再就職手当の基本をおさらい
再就職手当とは何か?
再就職手当は、雇用保険を受給している失業者が早期に再就職を決めた際に受け取ることができる手当です。
この手当の目的は、迅速な再就職を促進し、経済的安定を図ることにあります。
再就職日より以前に、失業手当の支給残日数が一定以上ある場合に支給されるのが特徴です。
再就職手当を受け取ることで、失業手当に代わる一時金を手に入れ、短期間での経済的な安定を実現することができます。
ただし、再就職手当と失業手当を同時に受給することはできませんので、その点に注意が必要です。
再就職手当の受給条件は?
再就職手当を受けるためには、いくつかの受給条件があります。
まず、雇用保険の待機期間を終えていること、具体的には7日間の待機期間を満了していることが必要です。
また、支給残日数が基本手当の3分の1以上であることや、離職した会社への再入社でないことなども条件に含まれます。
さらに、再就職先で1年以上勤務することが見込まれることも求められます。
紹介元に制限がある場合や、過去3年以内に再就職手当を受給していないことなども条件の一部です。
これらの条件をクリアすることで、経済的な支援を受けながら新しい職場を安心してスタートすることができます。
再就職手当の受給条件
- 7日間の待期期間を満了した後に就職、または事業を開始したこと
- 就職日前日までの失業認定を受け、所定給付日数の3分の1以上の支給残日数があること
- 離職した前の事業主に再び就職したものでないこと
- 1年を超えての勤務期間が予定されていること
- 原則、雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内に、再就職手当あるいは常用就職支度手当を受給していないこと
- 受給資格決定前から採用が決まっていないこと
- 自己都合などによる退職で給付制限期間がある場合、待期期間が満了になった後の初めの1カ月間はハローワークなどの紹介を受けて採用されたこと
再就職手当を受けるための手続き
失業手当受給中に就職先が決定した場合、または新たに事業を開始した場合は、速やかにハローワークで再就職手当の申請手続きを行います。
この手続きには必要書類の準備、申請書の提出、並びに自身の銀行口座情報の確認が含まれます。
申し込みが完了し、書類不備がない場合には、ハローワークでの審査が行われます。
審査が終わり次第、支給決定通知書が送付され、手当の金額と振込予定日が確認できます。
- 失業保険の待期期間終了
- 就職先決定/事業の開始
- ハローワークにて再就職手当の申請手続き
- 審査
- 再就職手当支給決定通知書の送付
- 指定口座に振込
通常、再就職手当はいつ振込される?
再就職手当の振込時期については、受給手続きを完了した後、通常、申請からおおよそ1ヶ月から2ヶ月程度が目安となります。
手続きが完了し、必要書類が全て揃っていれば、支給決定までの期間は最短で数週間となることもあります。
ハローワークの繁忙度や、審査の進捗状況によって多少前後することがあります。
フリーランスとして開業したら、再就職手当支給決定まで半年かかった経緯
再就職手当申請時の筆者の状況
筆者は39歳、勤続14年のときに退職勧奨を受けて会社を辞めています。
退職勧奨なので、もちろん会社都合退職。
基本手当の所定給付日数は240日ありました。
しかし!
筆者が住んでいる町は、保育園の「求職活動中」認定での在籍期間は2か月まで!
どうあっても満額受給することはできません。
でももう外で働くのは疲れちゃったので、在宅できる仕事をしたいということでブログを開始しました。
開業届の職業を「フリーランス」で提出
保育園は開業届を出せば、自営業としてそのまま通園可能ということだったので、開業届を税務署に提出しました。
この時の職業欄は「フリーランス」。
ブログをやりつつ、webライターもしたり、コミックエッセイも描きたいなぁと夢いっぱい。
5/20 ハローワークで再就職手当の申請
開業届を出した後、5/20にハローワークにて再就職手当を申請しました。
申請書類はその場でいただいて、その場で記入。
開業届の他に、開業に合わせて購入した物品などの領収書が必要とのことで、レンタルサーバー代や iPadの領収書を提出。
「審査をして問題なければ 2ヶ月くらいで再就職手当支給決定通知書が送付されて、指定口座に再就職手当が振り込まれる」と説明を受けます。
「もし何か問題があった場合は連絡するのでよろしく」ということも、そういえば言っていました。
提出したもの
- 再就職手当支給申請書
- 開業届の控え
- レンタルサーバー代の領収書
- iPad Airの領収書
申請から3か月経過、音沙汰なし
すっかり筆者の中で「もう終わった」ことになっていた再就職手当の件。
8月中旬、ふと「おや、3か月経つのにまだ何の通知も来てないぞ?」と気づきます。
ネットで検索してみると、みなさん2か月以内には何らかの通知が来ている様子。
もし不安な場合は、審査状況に関する問い合わせをするべきとのアドバイスページがたくさん出てきます。
でもこちらから連絡するのも面倒だし、提出はして受理されているんだから、もう少し様子見しようと思います。
面倒くさがり屋&電話苦手なので、ハローワークからの連絡を待つことに。
9/9 ハローワークから電話呼び出し
再就職手当の申請からそろそろ4ヵ月、そろそろ審査状況の問い合わせをするべきかと覚悟を決めかけた時にハローワークから連絡が!
提出された書類だけでは状況が確認しにくいので、もう少し活動実績になる書類が欲しいです。
なるほど、確かに「飲食店を開きます!」とかなら、貸店舗代やら什器代、仕入れとかいろいろ経費があって分かりやすいでしょうが、フリーランスでは経費はあまりかかりませんからね。
それがフリーランスやブロガーの良いところでもありますが、今回は悪い方に働いてしまったわけですね。
新たに購入したパソコン代とか、webライターとかの契約書類とかがあれば尚良いとのこと。
しかし!
パソコンもゲーミングチェアもデュアルディスプレイも、元から家にあるものを使っています。
この時点ではまだブログにかかりっきりでwebライターなどの実績もありません。
Googleアドセンスに合格していたものの、月の収益はまだ数百円で振込実績もないです。
アフィリエイト広告も貼り付け始めたくらいの時期で、こちらも収益ゼロ。
とりあえず追加の領収書を持ってハローワークへ!
9/11 いざ!ハローワークへ!
ハローワーク担当者さんの「お買い物のついでとかで良いので、ご都合の良い時に来てください」との言葉を鵜吞みにし、美容院のついでにハローワークへ。
(筆者の町のハローワークはショッピングモール敷地内にあって、買い物や美容院のついで利用が可能です)
開業以降に買ったものといえば、ブログのテーマ代とApple Pencil、iPadのケースとかフィルムくらい。
心もとなさすぎる領収書を提出します。
他に領収書がないなら、ブログの確認をさせてください
な、なんだってーーー?!
ここで問題が発生!
なんとこのときの当ブログのトップページには、ズバリ「ハローワークで失業保険を受ける時にやってはいけないNG行為7選」の記事が。
それをハローワークの担当者さんに見せろと?無理である。
が、致し方ないので当ブログをご紹介。
担当者さんは特に動じることなく、淡々とブログの各ページをプリントアウト。
とても、身の置き場が、ありませんでした!
その後、「ブログを書くにあたって、スクールや書籍などで勉強はしなかったのか?」「webライターなどの契約書類はないか?」を質問されました。
残念ながら、過去に実家の家業のホームページとかを作ったことがあったので、スクールも書籍購入も特にないのです。
とりあえず出せるものを出して、あとは審査の結果を待つだけの状況になりました。
追加で提出したもの
- ブログのテーマ代の領収書
- Apple Pencilの領収書
- iPadのケースとかフィルム代の領収書
- 当ブログのページコピー
11/12 支給決定通知書と同時に入金
9月に追加で領収書やブログの活動実績を提出してから更に2ヶ月。
スマホに「職業安定局」からの入金通知が来ました!
さらに同日に「就業促進手当支給決定通知書」が郵送されてきました。
正直、もらえないかと思い始めてたので、とても嬉しいです!
通知書には雇用保険受給資格者証(原本)も同封されていました。
筆者の所定給付日数は残り211日だったので、その70%に当たる147と10分の7日分が支給されたことを確認できました。
これからフリーランス・ブロガーなどで支給申請する人へ
待期期間満了日以降に申請する
まず大前提ですが、再就職手当を申請するには、待期期間の7日を過ぎている必要があります。
調べたところ、自己都合退職の場合は、待機期間7日+最低1ヶ月は待たないといけないようです。
また、申請日時点での所定給付日数が3分の1以上残っている必要があります。
再就職手当申請
- 7日間の待期期間を満了した後に事業を開始したこと
- 就職日前日までの失業認定を受け、所定給付日数の3分の1以上の支給残日数があること
→3分の1以上:給付率60%
→3分の2以上:給付率70% - 1年を超えての勤務期間が予定されていること
- 受給資格決定前から採用が決まっていないこと
- 過去3年以内に、再就職手当あるいは常用就職支度手当を受給していないこと
活動開始は開業届提出後から
再就職手当の事業開始日は、フリーランスやブロガーとして開業した日ではありません。
事業開始のための準備期間も含まれます。
ということは、退職前から副業としてフリーランスとして活動していたり、ブログをやっている場合は、再就職手当の受給条件「受給資格決定前から採用が決まっていないこと」に反する可能性が出てきます。
筆者はこれが怖くて、ブログを開設したのは開業届提出後です。
退職前から副業としてフリーランスで収益を得ていた、退職直後からフリーランスとして活動していた場合は、失業していた期間がないと見なされます。
副業をしている場合は、失業保険の不正受給に該当しないように注意しましょう。
とにかく領収書を集めておく
事業に関わるものならば開業前から全ての領収書を保管しておくようにしましょう。
筆者のように、パソコンがもともとあったり、サイト運営経験などがあって、あまり経費がかかっていない場合は審査に時間がかかります。
本当に事業を開始する気があるのか?と疑いをもたれてしまいますからね。
webライターとしての契約書や納品書などがあると申請がスムーズに進むようです。
とはいえ、開業したてでは契約書やら納品書がある人はほぼいないでしょう。
いったん再就職手当を申請して、後日契約書や納品書をハローワークに持っていくと良いと思います。
また、管轄するハローワークによって、提出を求められる書類は変わる場合があります。
どんな書類がいつまでに必要か、ハローワークの担当者さんに確認するようにしましょう。
申請時に必要な書類
- 再就職手当支給申請書
- 開業届の控え
- パソコン、レンタルサーバー、関連書籍代などの領収書
- セミナーやスクール受講の領収書
- webライターの契約書や納品書(あれば)
- 帳簿(あれば)
まとめ
再就職手当はまとまったお金をもらうことができるので、開業するならばぜひ欲しいものですよね。
とはいえ、フリーランスやブロガーとして開業届を出して、再就職手当をもらったという事例はなかなかありません。
そもそも大抵の人は退職したら別の会社に再就職しますからね。
さらにネット上には「個人事業主はもらえない」「従業員がいないともらえない」など、昔の支給条件を基にした?ウソの意見も多くあります。
今回、筆者は時間はかかりましたが無事に再就職手当を受け取ることができました。
この記事が、フリーランスやブロガーとして開業を目指している人の参考になれば幸いです。
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