東証プライム上場メーカーで化学系開発エンジニアをしていた筆者が退職勧奨を受け、最終的に会社を辞める決断をしたときの実体験をお話しします。
なお、心の葛藤や面談でのやり取りなど、もっとリアルな感情はnoteに詳しく書いています。
よろしければそちらもご覧ください。
筆者のプロフィール(退職勧奨当時の状況)
退職勧奨に応じたときの経歴をざっくりご紹介します。
筆者のプロフィール
- 修士卒 → メーカーの開発部に14年在籍
- 2回の出産・育休を取得
- 1人目の育休明けから通算8年間の時短勤務
- 毎期の評価は標準~やや下
- 退職の1年ほど前からリモートワークメインの部署に異動希望
突然やってきた退職勧奨の打診
「キャリア支援プラン」の実態
筆者が退職勧奨を打診されたとき、特に社内外への公示はありませんでした。
後で声をかけられた人と話したところ、技術系社員限定で内々に対象者に声をかけているようでした。
「キャリア支援プラン」などという希望退職っぽい名前を掲げていたので、てっきり希望退職だと思っていました。
しかし、個別に声がけしていること、募集期間が長めなことから退職勧奨でした(希望退職は募集期間が3ヶ月以内と定義されています)。
まぁ、希望退職でも退職勧奨でも受けれる優遇はほぼ変わらないです。
退職に応じた人の中には、一から業務を立ち上げて後輩の指導やマネージメントもやっていたような「この人辞めさせちゃダメでしょ?!」という人もいました。
筆者は当時39歳で、応募者の中では最年少。
大抵は40代後半以降の人で、応募者10人ちょっとでした。
退職勧奨実施時の会社の財務状況は「黒字」
退職勧奨実施時の会社の財務状況は、黒字経営で株価も堅調。
つまり業績不振による合理化ではなく、「余裕のあるうちに組織をスリム化する」ための戦略的な早期退職施策でした。
面談と葛藤:「ミスマッチ」攻撃と無限ループの心境
面談はジョブランク通知の面談に紛れて実施
退職勧奨の面談は、他の人が来期からのジョブ型のランクを通知される面談にまぎれて実施されました。
面談実施者が部長という時点で「あ、なんか他の人と違うぞ」と漂う不穏な気配。
そして技術者同士の横のつながりで「退職勧奨の面談をやってるらしい」という情報も流れてきたので、ある程度覚悟した状態で面談にのぞみました。
面談の中では「ミスマッチ」を何度か言われたのと、リモートワークメインの職に就きたいという希望を踏まえて「他の会社に言ったほうがよいのでは?」ということを言われました。
そして「新しいキャリアを応援するために、退職割増金24ヵ月分と転身支援するプランがあるので考えてみませんか?」という話をされます。
「突然のことですし、家族と相談してから…」と即答は避けて初回面談は終了。
筆者の心境:無限ループの葛藤
打診された直後から退職日までの間、筆者の心境は以下の無限ループでした。
- 精神的に落ち込む
「私、いらない人間かぁ」とガッカリ - 会社に対して憤る
「もっと経営がしっかりしていれば…」とイラつく - 退職の正当化
会社の悪いところを見つけて辞める理由にする - 退職ハイ
お金をもらって辞めることに浮かれる - 自己否定
「いや、でも私いらない人間だし…」 → 1へ戻る
周りの関係ない同僚にとってはかなり迷惑だったかと思います。反省してます。
辞める決断を後押しした「3つの現実的な理由」
最終的に筆者が退職を決断したのは、感情論ではなく、明確なメリットと理由があったからです。
理由1:家族の理解と生活の優先
帰宅後早速、「会社辞めようと思うんだけど、どう思う?」と家族に聞いてみました。
一応この段階では、少し休憩したのちに自宅から近い会社に再就職するか、フリーランスとして自宅で働く意思表明もしました。
家族の反応
夫:退職するの?!でもまぁ、いままで頑張ってきたし良いんじゃない。
上の子:学童辞めてもいいの?やったー!
下の子:よくわかってない
家族の同意は得られたので、残る問題は下の子の保育園だけです。
すぐに再就職できるならそのまま通園できますが、時間がかかるようなら幼稚園に転園しなければならないのでサクサク決めていく必要があります。
理由2:不安を解消する「お金のシミュレーション」
面談時に割増退職金と退職金全体にかかる税金の試算を見せてもらえたので、それを基に現在の個人資産をまとめました。
- 退職金+割増金
- 筆者個人の総資産を計算
株と預貯金、生命保険、年金など - 債務状況
住宅ローンが残り27年。奨学金などはなし。
筆者の個人資産で住宅ローン全額返済できるくらいはあったので、会社を辞めることへの抵抗がかなり減りました。
一応このお金の計算結果は夫にも共有し、不安を解消しました。
理由3:研究開発からの「キャリア転換の発見」
私は大学からこれまで、ずっと研究開発をしてきました。
転職した元同僚たちの次の職も大体研究開発だったので、当然のように研究開発職や技術職の求人を探していました。
でももっと自分にあう職、楽しい職があるのでは?
ふとそう思ったので、これまでの自分のスキルを棚卸することにしました。
これまでの社会人生活、私生活を含めて、できることをとにかく羅列しました。
まとめた中で楽しかったこと、またやりたかったことは何かと見直すと、Excelマクロで実験に必要なテンプレートを作ったり、ホームページ作成と、化学が全く関係ないものばかりでした。
でもホームページ作成やマクロ、コード開発というのはシステム系のエンジニアの方がたくさんいて、筆者ごときが太刀打ちできるわけがないです。
しかし、化学、理系母、早期退職という分野に特化させたブログならば独自性が出て勝負できるのでは?
ということでこのブログを立ち上げることに決めました。
二度目の面談と、退職に向けた諸手続き
二度目の面談で「退職」を宣言
初回の面談から約半月後、二回目の面談がありました。
ここでは会社都合退職になることを再確認してから、退職する旨を伝えました。
そのあとは今後はしばらくのんびりした後に、自宅で開業してフリーランスとして記事作成の仕事をしたり、会社で経験したことを題材にした理系マンガを描いていこうと思うと宣言し、和やかに面談は終わりました。
この面談終了後に直属の上司である課長に退職する旨を報告しました。
退職勧奨・希望退職の適用申請書と退職願
退職勧奨に応募する旨を申請した後、人事から「退職願いも提出してほしい」と言われました。
ネット情報では希望退職や退職勧奨の場合は退職願いは不要との情報がありましたが、筆者の在籍した企業では必要とのこと。
「キャリア支援プランに応じて退職」ということを理由欄に書いて提出しました。
(恥ずかしながらこの時はまだ希望退職だと勘違いしていました)

業務の引継ぎ
筆者は、「きちんと業務の引継ぎをすることが割増金支給の条件」と言われました。
そのため、担当していた設備のマニュアルから検討中の開発業務のまとめレポート作成、これまでに作ったマクロ、実験に必要な物品の購入情報まで渡して退職しました。
まとめ:早期退職は人生の見つめなおし
筆者の在籍した企業の場合、退職に応じた場合の退職日は一律で決められていたため、その日までに業務の引継ぎやお世話になった人への挨拶をしました。
最後に実験ノートや作業服なども渡して、晴れて無職になりました。
退職後は失業手当受給のためにハローワークに行ったり、保育園を継続するために開業届を提出してブログを書き始めたりしつつ、小学生の子供が帰ってくるのを出迎えたりと、案外やることがあるので充実しています。
今この記事を読んでいる人は、希望退職や退職勧奨を含めた早期退職に興味がある、または打診を受けている方が多いでしょう。
早期退職や退職勧奨は、言葉のイメージはネガティブですが、強制的に自分の人生とキャリア、お金と真正面から向き合う「転換点」になります。
筆者も現時点では退職には満足していますが、数年後は分かりません。
でも将来何が起きるかわからないのは会社にいてもいなくても同じことです。
この機会に自分の将来について考え、少しでも良い未来をつかめるよう願っております。
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