ジャパンディスプレイの希望退職の内容
東証プライム上場のディズプレメーカー・ジャパンディスプレイは、5月15日付で公表していた希望退職者の募集に国内外合わせて1,566名が応募したことを明らかにした。
内訳は、国内が1,483名、国外が83名となった。
希望退職の対象となったのは全拠点の正社員と契約社員で、年齢や部門などによる縛りは無かった。
今回の希望退職に伴う退職加算金などの費用として、約95億円を計上予定。
ジャパンディスプレイの25年3月期の連結最終損益は782億円の赤字(前の期は443億円の赤字)に赤字幅が拡大し、2014年の上場以来11期連続の赤字となっている。
同社は下記施策を実行し、2027年3月期からの黒字化を目指す。
- 茂原工場でのパネル生産終了及び同工場の AI データセンター化
- 石川工場への生産集約
- 希望退職の実施
なお、ジャパンディスプレイは2018年と2019年にも合わせて1,500人超の人員削減を行っており、今回の募集規模は過去最大となる。
▶︎ ジャパンディスプレイの発表内容を確認する
対象者 | 当社正規雇用従業員及び契約社員(全拠点対象) |
募集人数 | 1,500名程度 |
応募人数 | 国内:1,483名 国外:83名 合計:1,566名 1人あたりの割増退職金および再就職支援費用は約606万円 |
募集期間 | 2025 年 6 月 16 日〜2025 年 8 月 25 日(予定) |
退職日 | 2025 年 7 月 31 日以降 |
優遇内容 | ・退職希望者には退職金規則に定める退職金に加え、退職加算金を支給 ・希望者に対しては再就職の支援を行う |
- ジャパンディスプレイの人員削減は 32019年以来 回目
- 全拠点の正社員・契約社員が対象で、年齢や部門などの縛りは無い
- ジャパンディスプレイ自体は上場以来11期連続の赤字で、今期業績については非開示
- 国内外合わせて1,566名が応募、1人あたりの割増退職金および再就職支援費用は約606万円
過去の希望退職との違いは?
ジャパンディスプレイは、これまで2018年・2019年に希望退職を実施しており、今回で3回目となります。
2018年は「50歳以上の社員」を対象に約240名の募集を行い、一人あたりの割増金は平均862.1万円と高額でした。
翌2019年には「40歳以上の国内社員」まで対象を広げ、割増額は平均639.8万円に減少しています。
初回に比べて年齢層が下がったために割増金額も低下した可能性もあります。
ジャパンディスプレイが上場以来赤字を貯めこんでいること、募集対象範囲が広いことから、今回の募集ではさらに割増金額が下がる可能性が高いといえます。
※この金額には再就職支援会社の利用料(50~100万円程度)も含まれています。
*2025/9/5追記
2025年募集の1人あたりの割増退職金および再就職支援費用は約606万円で、前回の639万円に比べて微減となりました。
前述の通り全年齢対象が対象の募集ですが、社員の平均年齢が50歳近いことを考えると少し厳しい額面という印象を受けます。

ジャパンディスプレイの企業情報
ジャパンディスプレイは日立製作所、ソニー、東芝のディスプレイ事業を統合して誕生したパネルメーカー。
かつてはスマホ向けディスプレイメーカーとして知られたが、有機ELディスプレイ(OLED)の普及が進むに伴って液晶ディスプレイ(LCD)のシェアは減少し、2023年にモバイルから撤退。
現在では、車載および他社への技術ライセンシング事業に主軸を移している。
企業名 | 株式会社ジャパンディスプレイ |
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本社所在地 | 東京都港区西新橋3-7-1 |
業種分類 | 電気機器 |
設立年月日 | 2002年10月1日 |
市場名 | 東証プライム 【6740】 |
従業員数(単独) | 2,663人 |
従業員数(連結) | 4,249人 |
平均年齢 | 48.9歳 |
平均年収 | 7,490千円 |