早期退職関連

【2024年】早期希望退職募集企業の一覧と募集条件

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2024年は2023年に比べて早期希望退職を募集する企業が増加傾向にあります。
報道に出ているものはほんの一部の大手企業のものだけで、実際は中小企業でも希望退職や退職勧奨を実施する企業は増えていくものと予測できます。
本記事では、2024年に報じられた大企業の希望退職の募集条件と、その後の応募人数、おおよその退職金についてまとめています。

2024年に早期希望退職を募集した企業

2024年上場企業の早期希望退職募集状況

2024年に入って以降、希望退職制度を実施したと報道のあった企業について、募集条件と実際の応募人数をまとめてみました。
なお、業種は東証の33業種分類を参考にしています。

また、東芝、コニカミノルタ、ソニー・インタラクティブエンタテインメントなどで1,000人規模の人員削減の実施について報道がありますが、削減人数が国内外合わせての数字であり、日本国内の募集人員や条件がまだ不明のため、下の一覧表にはまだ記載しておりません。

社名業種集人数募集期間退職日応募人数条件
三光産業その他製品202023/12/15~2024/1/153/31正社員
オートバックスセブン卸売業1002023/12/20~2024/1/313/31163/31時点で50~57歳かつ正社員としての勤続年数10年以上
東北新社情報・通信20~301/22~2/23/3111勤続 10 年以上かつ50 歳以上の当社正社員(マネジャー職を除く)
イトーヨーカドー小売業1/31~2/2970045歳以上の正社員
AppBankサービス業71/31~3月中7運営体制縮小による退職勧奨
ワコール繊維製品1502/5~2/164/30215
ACSL機械402/16~2/293/3124
スカラ情報・通信506/3053
オムロン電気機器1,0004/10~5/317/201,2067/20時点で勤続3年以上かつ40歳以上の正社員及びシニア社員
フェイス情報・通信404月中旬~6/109/30の正規従業員および契約社員で会社が転進支援施策の適用を認める者
資生堂化学1,5004/17~5/89/301,47745歳以上で勤続年数20年以上の社員
gumi情報・通信806/17~7/157/3180
新光商事卸売業406/17~7/59/3052従業員(満 40 歳以上 65 歳未満)で会社が本制度の適用を認めた者
Wismettacフーズ卸売業306/24~7/128/3133アグリ事業本部に所属する34歳以上かつ勤続1年以上の社員
ティーガイア情報・通信2007/1~8/99/302419/30時点で45歳以上かつ勤続5年以上の従業員(販売職除く)
アーレスティ非鉄金属東海工場80
栃木工場80
7月中旬~8月上旬9/30東海工場93
栃木工場65
ソニーストレージメディアソリューションズ、
ソニーストレージメディアマニュファクチャリング
電気機器250
堺ディスプレイプロダクト
(シャープ子会社)
電気機器500最大24か月分の加算金、再就職支援
井関農機機械8010/1~11/20予定12/2012/20時点で満45歳以上の井関農機の正社員およびシニア社員
トーアエイヨー医薬品1009/17~10/11予定11/3011/30時点で勤続 3 年以上の従業員
(契約社員、再雇用社員を含む)
田辺三菱製薬医薬品定めなし10/1〜10/11予定12/312025/1/1時点で45歳以上かつ勤続年数5年以上の従業員
住友ファーマ医薬品7009/17~10/11予定11/3011/30時点で40歳以上かつ勤続5年以上の社員
協和キリン医薬品定めなし8/21〜9/20予定12/31研究本部、生産本部 CMC 研究センター、品質本部グローバル CMC 品質ユニットの一部組織の30 歳以上かつ勤続 3 年以上の経営職・一般職・再雇用社員
東北新社
今年2回目
情報・通信1009/30~10/2512/3145歳以上のグループ正社員・定年後再雇用社員・無期契約社員、5年を超える契約社員
不二ラテックスゴム製品319/11~9/3012/31栃木工場生産課所属の従業員
リコー機械1,00010/1~25/2/2825/3/31年齢・ジョブグレード・勤続年数等が所定の募集条件を満たす社員
ワコール
今年2回目
繊維製品定めなし11/1~11/1525/1/31熊本工場、新潟工場在籍の WMJ 従業員
日本アンテナ電気機器2010/15~11/612/31蕨工場に勤務する従業員
サンコール金属製品定めなし10月下旬以降25/3/31HDDサスペンション部門に所属する正社員・契約社員・嘱託社員
東北新社
今年3回目
情報・通信8011月上旬~11/2925/3/31①番組ポストプロダクション事業に携わる正社員
②60歳以上の再雇用社員
③間接部門に所属する社員

   

カシオ計算機の人員削減について

カシオ計算機は5/4に国内外で500人の人員削減を実施すると発表しました。
9/24付けの発表で、早期退職者数と自然退職者数の合計が国内約530名・海外約80名と報告されています。
自然退職者数も含まれた数字のため、上の一覧表には記載していません。
なお、この人員削減施策は継続中のため、早期退職者数は更に増加する可能性があります。
この施策に伴う特別退職金などの費用として約70億円の特別損失を計上予定です。

希望退職実施予定を公表した企業

2024年に希望退職の実施予定を公表したものの、まだ募集内容の公示がされていない企業は下記になります。

希望退職実施予定の企業

岩崎通信機:200人予定 2024年9月目処
東芝:4000人予定 2024年11月?
コニカミノルタ:2400人予定 2024年度中
住友化学:4000人予定 2024年度中(住友ファーマ700人募集済み、残り3300人?)

リストラをした企業のその後について 詳しくはコチラ

 

希望退職者への退職金はいくら?

2024年に希望退職を実施した企業が公表した特別損失の額から、退職者1人あたりへの退職割増金を概算しました。
※オムロンについては、最終的に国内で1,206人、海外で1,055人が退職に合意し、2024年第一四半期に特別損失として196億円が計上されています。
これとは別に第二四半期にも特別損失の計上見込みがあり、最終的には当初見込み通り280億円程度の費用が発生するとのことです。
表中の1,238万円は、280億円を2,261で割った数値です。

また、年初に話題となりましたイトーヨーカドーについては、「従業員の早期退職や店舗減損などによる構造改革費用(288億円)」という大きなくくりで計上されていたため、今回は計算リストからは除外しています。

社名特別損失額応募人数割増退職金 / 人
オートバックスセブン2億円161,250万円
東北新社8,100万円11736万円
AppBank2,400万円7343万円
ワコール22億円2151,023万円
ASCL6,500万円24271万円
スカラ1億9,400万円53366万円
オムロン280億円※1,2061,238万円※
資生堂180億円1,4771,219万円
新光商事3億5,200万円52677万円
Wismettacフーズ2億5,000万円33758万円
ティーガイア17億円241705万円
gumi8,800万円80110万円
アーレスティ7億円158443万円
2024年希望退職実施企業の退職割増金概算


なお、この数字はおおよその数値で、実際には下記項目によるブレ幅があることをご理解ください。

  • 年齢や在籍年数による割増金の増減
  • 再就職支援会社への委託金、有給休暇の買い取りなど、退職割増金以外の費用も含んでいる可能性

再就職支援の具体的サービス内容 詳しくはコチラ

 

希望退職を実施した企業の経営状況

オムロン:主力のファクトリーオートメーション機器事業が低調

電子機器大手のオムロンは2024年2月26日、中国経済の減速で業績が悪化していることを踏まえ、国内外で2,000人規模の人員削減を行うことを明らかにしました。
このうち、国内では従業員の1割にあたる1,000人程度の希望退職を募り、最終的に想定より多い1,206人が応募しました
また、海外でも1,055人が退職に合意し、国内外合わせて2,261人が希望退職に応じたことになります。
最終的な関連費用は第二四半期に判明予定ですが、当初の見込み通り280億円ほどの特別損失となるとのことなので、1人当たり1,238万円の計算となります。

  • 最終的な利益が前の年度から98%減少して15億円にとどまる見通し
  • 主力のファクトリーオートメーション機器事業が中国の顧客企業の設備投資抑制により低調
  • 25年9月までを構造改革期間と位置づけて固定費を年間300億円規模で圧縮予定
  • 高付加価値製品に注力するなど立て直しを急ぐ

 

ワコール:定番品の比率を6割に上げて在庫縮小を目指す

下着大手のワコールは2023年11月20日に店舗の閉鎖や希望退職の募集、不採算事業からの撤退を柱としたリストラ策を発表しました。
2026年3月期に売上高2,030億円、営業利益130億円を目指すとしたうえで、改革のメスをワコールの中枢とも言える開発・生産にまで及ぶとのこと。

最終的に、150人の募集に対して215人が希望退職に応募しました。
今回の希望退職に関する特別損失として22億円が計上されているため、1人当たり1,023万円の計算になります。

  • 在庫が膨れ上がり、回転率が悪化している
  • 商品企画が販売の14か月前から始まるため、多様化する消費者の好み・流行に追いつけていない
  • 大量生産・大量消費の見直しによりセール規模が縮小し、在庫品をさばきにくくなっている
  • ユニクロ・しまむらなど、競合の台頭
  • 自社競合を極力なくす方向でブランドを集約予定
  • 仕様素材の共通化や、新商品の比率を4割に厳選し、より革新的な商品開発を目指す
  • 不採算店舗の撤退に着手 2024年3月期中に直営店22店、百貨店内の10店を撤退

 

資生堂:不調は中国市場の影響?

化粧品大手の資生堂は、2024年2月29日に日本事業の従業員約1万3,000人のうち1割超に相当する1,500人の人員削減を発表しました。
募集期間は4月17日から5月8日までで、①退職時年齢に応じた特別加算金を通常の退職金に加算し、②希望者には再就職支援サービスを提供するとのこと。

最終的に1,500人の募集に対して1,477人が希望退職に応募しました。
今回の希望退職に関する特別損失として180億円が計上されており、1人当たり1,219万円の計算になります。

  • 中国事業の売り上げが25.5%を占め、日本事業の26.7%に次ぐ状態
  • 中国現地での安売り競争、中国化粧品メーカーの台頭による売り上げダウン
  • 「TSUBAKI」や「uno」といった有名ブランドの売却が影響

 

gumi:スマホ向けゲームが不調

ゲーム開発企業のgumiは最終赤字を抱える中、2024年6月7日に希望退職募集を発表しました。
競争が激しいゲーム業界において、経営の立て直しや業績改善が急務となっています。
その中で、現時点において決定している開発パイプラインや今後の既存タイトルの動向なども総合的に勘案のうえ、同社の今後の構想との共存が難しい社員に対する選択肢として、希望退職者を募集することを決定した。

  • モバイルオンラインゲーム事業およびブロックチェーン等事業が事業の柱
  • 2024年4月期、スマートフォン向けゲーム『アスタータタリクス』の売上が想定を大きく下回ったことなどにより、親会社に最終損失59億3400万円を計上
  • 当面はリスクが大きいオリジナルタイトルの開発は行わない
  • 低コストかつ収益の蓋然性の高いタイトルの配信、並びに受託タイトルの獲得により、安定収益を得られる体制づくりを目指す

 

片倉工業(トーアエイヨー)

医薬品の片倉工業は、2024年7月26日に子会社のトーアエイヨーで100人程度の希望退職者を募集すると発表しました。
トーアエイヨーでは2023年にも50人規模の希望退職を実施し、61人が応募しました。
その時の応募条件は、「対象は45歳以上の正社員、契約社員らで、製造業務の従事者は除く」でした。
当時の割増退職金・再就職支援等の費用は約 6 億円と発表されていることから、1人あたり980万円ほどです。


今回の応募では「勤続年数3年以上」という縛りのみなので、かなり応募条件が緩くなっています。
社員数約420人に対して100人程度の募集と、募集割合が大きいことも気がかりです。

  • 循環器用製剤などの医療用医薬品が主力
  • 2024年3月期の純利益は285百万円と、前年同期の982百万の30%程度
  • 2023年にもトーアエイヨーにて50人規模の希望退職者を募集(応募61人)
  • 2020年に片倉工業本体でも100人規模の希望退職者を募集(応募138人)

  

田辺三菱製薬:2015年にも希望退職を実施

医薬品の田辺三菱製薬は、2024年7月29日に定員の定めのない希望退職の実施を発表しました。
新薬開発の難易度が高まる一方、グローバル市場での成長を実現させるためにも余剰感のある人員規模の適正化が急務と判断した施策のようです。

田辺三菱製薬では2015年にも定員の定めのない希望退職を実施しており、最終応募人数は634人でした。
その時の応募条件は「45歳以上の社員」だけだったので、今回は勤続年数の縛りがある分、中途採用者などには若干不利な応募条件となっています。
当時の割増退職金・再就職支援等の費用は約 153億円と発表されていることから、1人あたり2,400万円ほどです。

  • 「将来の成長の方向性を考えると、収益が安定している状況の中でこうした施策を打つのが適切だと判断した」
  • 北米で販売する筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「ラジカヴァ」が好調
  • ここ10年ほどで国内の事業拠点5ヶ所を閉鎖し、事業の集約を図っている
  • 2015年にも希望退職を実施(応募634人)

  

協和キリン:2019年にも希望退職を実施

医薬品の協和キリンは、2024年8月1日に定員の定めのない希望退職の実施を発表しました。
協和キリンは2019年にも定員の定めのない希望退職を実施しています(当時の社名は協和発酵キリン)。
その時の募集条件は「45歳以上かつ勤続5年以上の社員」でした。
今回の募集は技術系社員を対象とし、30歳以上を対象としているため、若手技術者の流出が懸念されます。
当時の応募人数は296人、割増退職金・再就職支援等の費用は約 51億円と発表されていることから、1人あたり1700万円ほどです。

前回募集時は応募者の年齢層が高かったこともあり、割増退職金の額は多めです。

  • グローバル製品であるFGF23関連疾患治療薬「クリースビータ」の販売好調
  • 低分子創薬研究は大幅に縮小、関連するCMC研究・品質関連業務の縮小を計画
  • 「骨・ミネラル」「血液がん・難治性血液疾患」「希少疾患」を重点領域とする
  • 先進的抗体技術と造血幹細胞遺伝子治療の2つのモダリティに注力する研究体制への移行
  • 希望退職の該当社員は500人程度
  • 2019年にも希望退職を実施(応募296人)

 

東北新社:本年2回目の募集

CM・映画制作などを手掛ける東北新社は2024年9月30日に、本年2回目となる希望退職の募集を発表しました。
前回の1月にも勤続 10 年以上かつ50 歳以上のマネジャー職を除く正社員を対象に20~30人の希望退職を実施していました。
このときの最終的な応募人数は11人でした。
今回の募集では、対象者が「45歳以上のグループ正社員・定年後再雇用社員・無期契約社員、5年を超える契約社員」と広がっていること、募集人数が100人と大幅に増えていることから、映像業界の厳しさが窺えます。

  • 2024年1月時の最終応募人数は11人
  • グループ全体の社員数約1500人に対して約6%の募集枠
  • 組織・人員再編による人員体制の適正化を図る

 


 

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