早期退職関連 行政への手続き

退職理由は自己都合?会社都合?早期退職で「会社都合」になる条件と受けられる公的支援まとめ

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やまのうえのたぬき

「希望退職制度」とは名ばかりの“事実上の肩たたき”。
それをどう受け止め、どう選択していくかは、自分次第。
今まさに悩んでいる誰かに届けられたら——そんな思いで書いています。

📌39歳で退職勧奨を受けた化学系エンジニア、グラフ大好き
📌ブログとnoteで「辞めた人」の目線から発信中

同じ「退職」でも、通常の自己都合退職と、希望退職・退職勧奨・整理解雇などの「会社都合退職」では、公的支援に大きな違いがあります。

代表的な違いは失業給付(失業保険)ですが、実はそれだけではありません。
国民健康保険の保険料軽減や、条件次第では国民年金の特例免除制度が受けられる場合もあるんです。

この記事では、主に会社都合で退職した人が対象となる公的支援について、わかりやすく解説します。

 

「自己都合」か「会社都合」かはどう決まる?

退職の分類

一口に退職といっても、退職に至るまでの過程は人によって異なります。
職場の人間関係が原因だったり、子育てや介護による離職、会社の業績不振による整理解雇などいろいろ考えられます。

ハローワークで失業手当を申請するとき、市役所に健康保険料の減免を申請するときなど、公的機関が「この人は会社都合の退職だ」と判断する基準があります。

退職の理由は大きく五つに分類されます。

退職の分類

  • 労働者の判断による退職(自己都合)
  • 定年による退職
  • 労働契約期間満了などによる退職
  • 事業主の判断による退職(会社都合)
  • 倒産など、やむを得ない理由での退職

 
 

「会社都合」になる退職、ならない退職

実は、「早期退職=会社都合」とは限りません
60歳前の退職でも、制度の種類によって自己都合扱いになることもあります。

以下の表は、よくある退職理由と、それが「会社都合」か「自己都合」かをまとめたものです

 退職理由扱いコード
通常の退職キャリアアップ、職場への不満、結婚や転居など自己都合40, 45
早期退職恒常的に運用されている早期退職に応募自己都合24
定年退職定年退職(65歳未満)会社都合25
契約期間満了労働者からの契約の更新または延長の申し出があった会社都合23
なかった自己都合24
希望退職
退職勧奨
臨時に実施された希望退職や退職勧奨会社都合31, 32
倒産倒産、法令違反などの正当な理由ある退職会社都合21, 22
解雇業績不振などによる整理解雇、天災などを理由とした退職会社都合11, 12
重責解雇労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇自己都合50, 55

通常の退職や定年まで勤め上げた末の退職であれば迷うことはないでしょう。
混乱しがちなのが早期退職による退職の場合です。

   

「早期退職」は紛らわしいので要確認!

早期退職とまとめていわれがちですが、企業側が福利厚生の一環として恒常的に運用している早期退職(選択定年退職)制度と、経営方針の見直しなどで臨時に実施される早期希望退職制度では扱いが異なります。

早期退職のポイント

  • 福利厚生としての早期退職(恒常運用)
    労働者から申告した上で企業・労働者の双方が了承した「通常の契約期間満了」
    離職理由コード24の 自己都合扱い
       
  • 希望退職・退職勧奨などによる早期退職(臨時運用)
    企業側からの申し出を受けて従業員が退職を希望した「正当な理由のある自己都合退職」
    離職理由コード31の 会社都合扱い

早期退職と希望退職は退職金の割増や再就職支援など、企業内での優遇内容が同じ場合が多いです。

会社都合退職だと思って離職し、ハローワークに行ってから自己都合扱いにされてびっくり!
…というのは比較的よくある話です。

もし早期退職を検討している場合は、その早期退職制度が自己都合扱いなのか会社都合扱いなのかを事前に企業側によく確認しましょう。

ハローワークへの退職事由変更申請について

 
 

会社都合退職になることのメリット

失業手当の受給期間開始が早くなる

会社都合退職だと、自己都合退職に比べて失業給付の支給開始が早く、期間も長くなります。

退職の扱い給付開始時期
自己都合7日+2ヶ月後
会社都合7日後から支給開始

とはいえ、実際には退職日の7日後に貰えるわけではありません。
失業手当の申請に必要な離職票が手元に届くまでに10日~14日かかるからです。
ですので離職票が届いてすぐにハローワークに申請をしに行ったとしても、受給開始までには17日~21日かかります

💡補足POINT!
2025年4月以降、「リスキリング目的の教育訓練等を受けている人」は自己都合でも待機期間なしで受給可能になりました!

   

会社都合退職の場合の失業手当受給までの流れ(実例)

下に筆者が失業手当の申請をしたときの流れをご紹介します。

筆者は3/31に退職しました。
離職票が郵送されてきたのが4/10。
離職票が届いた当日にハローワークに求職の申し込みをしましたが、初回の失業手当が入金されたのは5/22でした。

筆者の失業保険受給までのスケジュール

 
  

所定給付日数が長くなる

自己都合退職の場合、失業手当(失業給付金)の給付日数は単純に勤続年数によって決まります。
失業時の年齢などは考慮されません。

一方、会社都合退職の場合は失業時の年齢と勤続年数によって失業手当の給付日数が変わります

自己都合退職の場合の給付日数
 勤続年数1年未満1年 ~ 9年10年 ~ 19年20年~
全年齢共通なし90日120日150日
会社都合退職の場合の給付日数
 勤続年数1年未満1年 ~ 4年5年 ~ 9年10年 ~ 19年20年~
~30歳90日90日120日180日
30歳 ~ 34歳120日180日210日240日
35歳 ~ 44歳150日240日270日
45歳 ~ 59歳180日240日270日330日
60歳 ~ 65歳150日180日210日240日

📌筆者の場合
 39歳・勤続14年 → 給付日数は240日でした。

 失業手当の日額や給付日数の計算はシミュレーションサイトを使うのが便利です。
>>Keisan!失業給付の計算ページ

国民健康保険の保険税軽減処置がある

退職後、職場の健康保険を抜けると、通常は「国民健康保険」に加入します。
このとき、特定の退職理由に該当していれば、保険料の軽減措置が受けられます。

退職して職場の健康保険を外れる場合は、お住まいの市区町村での加入の手続きが必要です。

軽減処置対象者

市役所などで手続きをすれば国民健康保税の軽減処置を受けることができます。
雇用保険受給資格者証の「12. 離職理由」欄に、以下のコードがある場合が対象:11, 12, 21, 22, 23, 31, 32, 33, 34

離職理由コード離職理由
11解雇
12天災等の理由によ事業の継続が不可能になったことによる解雇
21雇止め(雇用期間3年以上の雇止め通知あり)
22雇止め(雇用期間3年未満更新明示あり)
23期間満了(雇用期間3年未満更新明示なし)
31事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職
32事業所移転等に伴う正当な理由のある自己都合退職
33正当な理由のある自己都合退職
34正当な理由のある自己都合退職(被保険者期間12か月未満)

   

雇用保険受給資格者証の離職理由コード
筆者の雇用保険受給資格証

 

軽減額

離職した前年の給与所得を100分の30として、国民健康保険税を計算します。
所得が少なく見積もられるので、国民健康保険税の大幅な減額が期待できます。

筆者の場合は申告により、年額 40.6万円 → 11万円にまで軽減されました!

👉 POINT!

・退職した会社の健康保険に任意継続した場合
・軽減処置を受けた場合


どちらが安くなるかを比較して、退職後の健康保険の加入先を決めましょう。


国民健康保険税は自治体や年齢によって税額が異なります。
市町村ホームページに計算方法が記載されていたり、計算用のエクセルファイルが用意されている場合もありますので、役所のホームページを覗いてみましょう。

全市町村をカバーしているわけではありませんが、居住地を選んで国民健康保険料をシミュレーションしてくれるサイトもありますので、そちらを利用するのもお勧めです。
>>国保シミュレーション

 

軽減対象期間

 離職日の翌日から翌年度末までの最長2年間
※期間途中で再就職し、企業の健康保険に加入するなど国民健康保険を脱退すると終了します。

必要書類

  • 雇用保険受給資格者証  ※雇用保険受給資格者証(仮)は不可
  • 身分証明書
  • マイナンバーカード

 

国民健康保険税の軽減を受けるタイミング

退職後すぐに再就職する場合

正社員で再就職が決まっている場合、社会保険(企業が運用する〇〇健康組合など)に加入することになるため、軽減処置の申請をする必要はありません

というのも、すべての法人事業所、または従業員を常時5人以上雇用している個人事業所(一部 業種を除く)は、厚生年金保険と健康保険への加入が法律で義務付けられています。

年金と健康保険はセットで取り扱うため、「年金は厚生年金で、健康保険は軽減が受けられる間は国民健康保険が良い」とは出来ないのです

社会保険の場合、保険料の半分を企業が負担してくれるため、軽減された国民健康保険よりも長期的にはお得になります。

失業手当を受給する場合

退職後もしばらくは働かない場合や転職活動を行う場合、家族の扶養に入ると国民年金と健康保険料を支払わなくて良くなるのでお得です。

しかし、失業手当の受給が始まると大抵の場合は扶養から外されて国民健康保険に加入することになります。
扶養から外される目安は、社会保険の扶養の上限である年収130万円、1ヵ月あたりに直すと10万8333円、日額では3,612円です。

この額より多く失業手当を受け取る場合は扶養から外すというのが一般的です。
失業手当の日額は雇用保険受給資格者証を確認しましょう。

もしまだ雇用保険受給資格者証をお持ちでない場合、ハローワークの計算待ちの場合はシミュレーションサイトで試算もできます。
 >>keisan!で失業給付の日額を計算する


3,612円の日額を離職前の月給に換算するとおおよそ13.5万円となります。
もし離職前の半年間の月給の平均が13.5万円以下ならば扶養のまま失業手当を受給できるでしょうが、大抵の人はオーバーするかと思います。

その場合はご家族の社会保険の扶養には入れず、国民健康保険税と国民年金を支払う必要があります。
その時に国民健康保険税の軽減を申告すれば、本来支払う額のおおよそ3分の1まで支払額が軽減されますので、かなり助かるはずです。

国民年金は特例免除を活用する

退職して厚生年金を外れた場合、国民年金の加入手続きを行って国民年金保険料を納めることになります。

保険料の支払いが難しい場合は、免除制度を利用することで負担を軽くすることができます。
住んでいる市区町村の役所・役場の国民年金担当窓口または年金事務所の窓口でご相談ください。

特例免除制度

通常であれば審査の対象となる本人の所得を除外して審査を行い、国民年金保険料の納付が免除されます。
特例免除は、申請する年度または前年度において退職(失業)の事実がある場合に対象となります。

ただし、本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が審査基準となるため、ご家族に収入がある場合は免除されにくくなります

筆者の場合は夫の所得が基準額以上であったため、免除は受け付けてもらえませんでした。

詳しくはお近くの年金事務所、市町村役場の国民年金担当窓口でご相談ください。

まとめ

会社都合退職の場合に行政から受け取れる優遇についてまとめました。
雇用保険の失業給付の金額と期間が優遇されることは有名なので知っていた人も多いかと思います。

しかし実はそれ以外にも国民健康保険料の軽減や、国民年金の特例免除の対象となる場合もあります。
ただ、失業給付も国民健康保険も、退職後すぐに再就職する場合は恩恵を受けることはできません

特に「早期退職」が自己都合になるか会社都合になるかで大きく変わるので、制度の確認は忘れずにしましょう!

もし、今後の働き方に不安を感じているなら、まずは「自分の市場価値を知る」ことが第一歩です。
不安を感じるのは、客観的な情報が少ないからこそ。

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  • 自分の年齢・経歴で年収はどれくらい見込めるのか?

こういった「数字で見える情報」があるだけで、不安が少しずつ解消されていくはずです。

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