「定年まであと10年…でも、もう会社にしがみつくのはしんどい」
「早期退職して、少しでも自由な時間を増やしたい」
そんな思いで希望退職やセカンドライフを考え始めた方にこそ、知っておいてほしいのが健康寿命の話です。
人生100年時代とはいえ、本当に元気で自由に動ける時間はそれほど長くありません。
この記事では、厚生労働省の統計データに基づき、ミドル世代が早期退職という選択をする上で避けては通れない健康寿命の実態と、有意義なセカンドライフに向けた備えについて解説いたします。
健康寿命と平均寿命は何が違う?
平均寿命と健康寿命の違い
厚生労働省によると、健康寿命とは「日常生活に制限のない期間」のこと。
一方で平均寿命は「生きている年数」です。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 平均寿命 | 81.4歳 | 87.5歳 |
| 健康寿命 | 72.7歳 | 75.4歳 |
| 平均との差 | 約8.7年 | 約12.1年 |
なんとなく「老後は孫と遊んで、たまには旅行に行って…」と考えているかもしれませんが、実際にそんなふうに自由に動ける時間は定年後10年あるかどうか。
それも平均値であって、もしかしたらもっと早くに病気になったり事故にあう可能性もあります。
そう考えると、ミドル世代が自由に動ける時間というのは実は思っているより少ないのかもしれません。
生存率の統計から見る、先送りできない「老後の愉しみ」
厚生労働省の令和4年簡易生命表によると、年齢ごとの生存率は以下の通りです。
| 年齢 | 男性の生存率 | 女性の生存率 |
|---|---|---|
| 65歳まで | 89.6% | 94.4% |
| 75歳まで | 75.3% | 87.9% |
| 90歳まで | 25.5% | 49.8% |
健康寿命を過ぎた直後の75歳時点で、生存率は約4分の3まで低下します。
つまり、体力・気力ともに充実した状態で新しい活動を始めるためには、50代から60代前半が「最後の好機」であると言っても過言ではありません。
早期退職後の生活を盤石にする、健康寿命を意識した計画ポイント3つ
40代・50代で早期退職を選ぶなら、「自由な時間をどう使うか」だけでなく「健康なうちに何をするか」を一緒に考えておきたいところです。
セカンドライフを充実させるためには、まず退職後の目標設定が必要です。
ポイント1. セカンドライフの目標を持つ
退職直後の休息も必要ですが、長期的な「日々の張り」を維持するためには目標が不可欠です。
- 共有体験:
家族との旅行やイベントを通じた、絆の深化と記憶の共有。 - 趣味の深化:
現役時代には叶わなかった、時間と労力を要する趣味の追求。 - 自己研鑽:
実益を兼ねた学び直しや、新たな専門スキルの習得。 - 社会貢献:
自らの知見を次世代や地域社会に還元する活動。
心身共に豊かな日常というのは、健康寿命を延ばす上で非常に重要です。
社会参加や新しい活動を取り入れることで、心の健康寿命も確保できます。
ポイント2. 医療・介護を見据えた精緻な資金計画
平均寿命と健康寿命の差を考えると、老後には医療費や介護費が発生する可能性が高くなります。
- 攻めの資金
元気なうちに教育や娯楽へ投じる資金 - 守りの資金
長期的な療養や介護を支えるための備え
両方のバランスをとるためにも、退職前に資金計画を見直しておくことが大切です。
老後資金の見直しや経済的不安の軽減は、精神的な安定にもつながります。
1人では難しい場合は、FPなど専門家に相談してみるのもアリです。
ポイント3. ゆるく働いて社会的つながり持つ
「退職したら一切働かない」と決めつける必要はありません。
ダイヤ高齢社会研究財団の2017年「定年前後の就業に関する意識と実態」を見てみましょう。
この調査では定年後も働いている60代男性に、定年後も働く理由について聞いています。
「日々の生活維持のため」が1位ですが、「生きがい」や「健康」、「社会的なつながり」も重視されていることが分かります。
特に60代後半になると、60代前半に比べて社会的なつながりや健康を意識した項目の割合が高くなります。
老後も積極的に社会参加し、周囲とのつながりを保つことは、精神的な健康を保つためにも重要です。
ゆるくでも働き続けるということは、健康寿命を延ばしつつ、経済的な安定や社会的なつながりを得られるのでおすすめです。
健康寿命を延ばすために、今すぐできること
健康寿命の重要性
早期退職後の生活の質を維持するためには、身体的・精神的な「自己メンテナンス」が最優先事項となります。
厚生労働省の調査においても、老後における最大の不安要素は「健康問題」であり、その解消こそが充実したセカンドライフの土台となります。
健康寿命を1日でも長く保つために、今から着手すべき4つの行動を挙げていきます。
① 身体的機能の維持:適度な運動習慣の定着
健康寿命を延ばすためには、適度な運動が欠かせません。
老後の健康や体力維持を考えると、運動習慣をつけることは非常に重要です。
- 基礎体力の保持
軽い筋力トレーニングを取り入れ、骨格と筋肉を維持する - 低強度運動の継続
日々のウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で身体を動かす習慣をつける
② 生体リズムの最適化:バランスの取れた食事と質の良い睡眠
代謝や消化吸収能力が変化するミドル・シニア世代こそ、摂取するエネルギーの「質」に配慮が必要です。
- 休息の確保
睡眠の質を高め、日々の疲労を翌日に持ち越さない生活リズムを整える - 栄養管理
野菜、魚類、良質なタンパク質を中心としたバランスの良い献立を心がけ、免疫力と体力の基盤を固める
③ 予防医療の実践:定期的な健康診断と早期対応
定年退職後も健康を維持するためには、定期的な健康診断と予防医療が欠かせません。
早期発見・早期治療は健康寿命を延ばすうえで最も効果的です。
自身の健康状態を客観的なデータで把握し、予兆を逃さない姿勢が重要です。
- 定期チェックの徹底
50代以降特有の身体的変化に留意し、人間ドックや定期診断を欠かさない - 早期発見・早期治療
「早期対応」こそが健康寿命を延ばす最も合理的かつ効果的な手段
④ 精神的健康の保持:社会とのつながりを大事にする
心の健康(メンタルヘルス)は、身体の健康と密接に連動しています。
- コミュニティへの参画
地域のボランティア活動や趣味のサークルなどを通じて、他者との交流を維持 - 孤立の回避
社会的な居場所を持つことで、認知機能の維持や日々の充実感を得る
まとめ:健康寿命を見据えて、今できる準備を
早期退職を考え始める40代・50代というのは、健康寿命を見直すにも非常に良いタイミングです。
健康寿命を意識して今から準備を進めることで、将来の不安をぐっと軽くできます。
- 平均寿命と健康寿命には約8〜12年の差
- 自由に動ける時間には限りがある
- 健康を維持しながら、資金計画や社会とのつながりを保つことが重要
早期退職を前向きな選択にするために、健康寿命を意識した準備を始めましょう。






